健康寿命を維持するために避けるべき食習慣
できるだけ長い期間、自分の足で立って歩いて、口から美味しい物を食べて…と願っている方は多いです。そのような人生を送るために、皆さんは何か意識していることがあるでしょうか?
やはり、健康的に長生きするためには、何もかも好きに飲み食いしてよいというわけにはいきません。今回は、健康寿命を維持するために避けるべき「食習慣」に着目してご紹介します。
健康寿命とは?
まずは、健康寿命とはなんなのか、具体的に知っておきましょう。寿命は、生まれてから亡くなるまでの年数のことを指します。「ピンピンコロリ」は理想的ですが、亡くなる前には、加齢や病気によって思うように暮らせない期間が生じることがほとんどです。
健康寿命というのは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」、つまり、自分らしく生活できる期間のことを指します。
日本は世界でも有数の長寿国ですが、近年はただ長生きするのではなく、できるだけ健康で元気に暮らすことを目指すために、「健康寿命」が着目されるようになってきました。
健康寿命と寿命の間は、「健康上に問題があり、日常生活が制限される期間」です。その期間は、平均すると男性で約9年間、女性で約12年間にも及びます。約10年もの長い間、頻繁な通院や介護サポートが必要な生活を送るというのは、なかなか理想とは遠いものでしょう。
※厚生労働省.健康寿命の令和元年値についてより
多くの方が理想として考える「ピンピンコロリ」を実現するには、健康寿命を伸ばすことが大切です。健康維持のためになる食事を意識しましょう。食習慣に関しては、幼い頃からの「慣れ」も必要です。お子さんやお孫さんも一緒に、食習慣を見直してみましょう。
健康寿命が縮まる!避けるべき「食習慣」と改善ポイント
続けていると健康寿命に影響してしまうような、よくない食習慣についてご紹介するとともに、改善のポイントもお伝えします。少しずつ改善に取り組んでいきましょう。
①濃い味付けを好む
濃い味付けを好む、いわゆる「塩分のとりすぎ」は、高血圧を招き、そこから動脈硬化によって腎臓病や心筋梗塞を起こすなど、健康を損なう大きな要因です。
日本人の平均的な1日の塩分摂取量は約10gで、目標値(1日8g)を大きく上回っています。これは世界的にみても多く、醤油や味噌に含まれる塩分が要因の1つです。和食はあらゆる料理に醤油や味噌を使うので、塩分が多くなりやすい料理と言えます。
幼い頃から濃い味付けに慣れていると、大人になってから「薄味にしよう」と思ってもなかなか満足感が得られにくいです。子どものうちから薄味に慣れさせておくことが、子どもの健康を守ることに繋がりますよ。
お酒を飲む方は、「おつまみ」で塩分をとりすぎている可能性があります。減塩のために、おつまみの選び方を工夫してみませんか?たとえば、塩味のついたナッツを食べているのであれば、素焼きのナッツに変えてみます。塩辛など塩分濃度の高いものは1週間に1回など頻度を抑えて楽しみましょう。野菜スティック、枝豆、カニカマなどは比較的塩分が低く、減塩を意識したおつまみに最適です。
自炊をする方は、まずは減塩調味料を揃えてみてください。外食が多い方は、醤油やソースのつけすぎ、スープの飲み過ぎには注意しましょう。
②一品料理が多い
「牛丼」「パスタ」など、一品料理ばかりの食事になってしまっていませんか?厚生労働省の調査では、20〜40代の若い世代で「魚・果物・野菜」の摂取が少ないということがわかっています。つまり、食事のバランスが悪くなっているということです。
バランスのよい食事とは、どのようなものでしょうか?「主食(ご飯、パンなど)、主菜(タンパク質のおかず)、副菜(野菜のおかず)」のセット、定食をイメージしてください。肉や魚をとらずにサラダばかり食べていても、おにぎりだけを食べていても、バランスがよいとは言えません。満遍なく、さまざまな食材を取り入れることで、肥満・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を予防し、健康を維持することに繋がります。
一品料理は手軽で便利ですが、主食が多く、野菜が少なくなりがちです。たとえば牛丼を食べるにしても、ご飯を少なめにし、野菜の小鉢を追加するなど、工夫してみましょう。
③食べすぎ、無理なダイエット
食べすぎて肥満になっていたり、無理なダイエットで痩せを目指したりしていませんか?
「適正な量の食事をとり、体重を維持する」ことも、健康に繋がります。肥満は、糖尿病や脂質異常症、高尿酸血症、脂肪肝などあらゆる病気を招くため、よくないというイメージは多くの方がお持ちでしょう。
痩せすぎも健康には悪影響です。たとえば、無理なダイエットでタンパク質が不足すると、筋肉が落ち、体力の低下や将来的な寝たきりのリスクが高まります。女性の場合、痩せすぎは生理不順や不妊、骨粗鬆症などに繋がりやすいです。また、最近では、痩せで筋肉量が少ない方も糖尿病や心臓病のリスクが高いとわかってきました。
「痩せているから生活習慣病とは無縁」と考えている方は少なくないですが、実際には肥満も痩せも、どちらも生活習慣病のリスクを高めます。食べすぎ・無理なダイエットを見直し、適正体重を維持することが、健康維持になります。
最も病気になりにくいとされる「BMI = 22」を目安として、ご自身の体重を調整していきましょう。BMI = 25以上になると、生活習慣病を発症するリスクが2倍以上になるため、肥満傾向の方は、BMI 25未満になるように体重を減らしましょう。
④脂質が多い
脂質は揚げ物やスイーツ、肉、カレー、炒めものなどに多く含まれており、意識しなくてはとりすぎになりやすい栄養素です。
栄養素の中で、「脂質」は肝臓でも作ることができるため不足することはほとんどありません。現在は、食生活の欧米化によって脂質をとりすぎている方が増えています。脂質のとりすぎは、肥満や脂質異常症に繋がり、そこから心筋梗塞などの大きな病気を引き起こしてしまいますので、食事の脂質を意識的に減らしていきましょう。
自炊をする方であれば、「調理方法を変更する」のがおすすめです。揚げる、炒める、煮る、蒸す、茹でるの順に油を使う量が減り、エネルギー(摂取カロリー)も抑えることができます。トンカツではなくステーキや蒸し豚にする、唐揚げではなく照り焼きや煮物にするなど、同じ食材でも調理方法を変えれば脂質を抑えることができるというわけです。
外食が多い方は、揚げ物やスイーツの食べる頻度を決めるというのもよいでしょう。外食をすると、唐揚げや天ぷらなど、揚げ物のメニューが多くなりがちです。「月曜と木曜は揚げ物を食べてもよい」のように決めることで、脂質を抑えることができます。
また、魚に含まれる脂質にはコレステロールのバランスを整える働きがあるため、魚を食べる頻度を増やすのもおすすめです。
⑤食事の時間が不規則
お仕事が忙しいなどの理由から、食事の時間がバラバラになっていませんか? 昼ご飯が夕方近くになる、寝る直前に夕飯を食べるなど、食事の時間が不規則になることで、空腹感を紛らわすための間食やジュースが増え、肥満や脂質のとりすぎに繋がることがあります。
また、最近では、食事の時間が不規則になることで体内時計に影響し、肥満や糖尿病の発症につながる可能性があるとわかってきました。
食事の時間はできるだけ規則的にしましょう。どうしてもズレてしまう場合は、空腹感の反動から食べすぎないこと、間食でのカロリーをとりすぎない(目安として200kcal程度までとする)こと、寝る直前は「脂質が少なく消化によいもの」を選ぶことを意識してください。
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まとめ
今回は、健康寿命について簡単に解説したのち、健康寿命を維持するために避けるべき食習慣を5つご紹介しました。
健康寿命を延ばし、介護サポートなどが必要になる期間を短くするためには、食事に気を使うことが大切です。食習慣は幼い頃からの積み重ね・慣れも影響しますので、早いうちから意識しましょう。
今回、避けるべき食習慣と簡単にできる改善ポイントをお伝えしましたので、ぜひ取り組んでみてください。
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参考
・厚生労働省.健康寿命の延伸につながる食育の推進
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000114063_2.pdf
・保健指導リソースガイド.「やせメタボ」は生活習慣病になりやすい「筋肉のインスリン抵抗性」が影響
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2016/005442.php
・農林水産省.みんなの食育.夜遅く食事をとる時は
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_03.html
・全国健康保険協会.【脂質】ちょっとした工夫で脂質をコントロール
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat450/sb4501/p004/Commented
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